こんにちは、あおさん(@aosan)です。
2022年社会福祉士国家試験を受験する最後のあがきで、19科目の覚えておくべき重要項目をまとめてシェアします。
私の備忘録であると同時に、他者にシェアする、他者に教えることで自分の学習効果を上げようという狙いです。
ですので、記事の作りはほぼ備忘録なので、超簡素になります。そこのところよろしくお願いいたします。
共通科目の『権利擁護と成年後見制度 part2』です。
それでは8回目のスタートです。
- 行政法
- 行政上の不服申し立て(行政不服審査)
- 行政事件訴訟
- 国家補償
- 国家賠償
- 情報公開制度
- 地方公共団体
- 成年後見制度
- 日常生活自立支援事業
- 成年後見制度利用支援事業
- 権利擁護にかかる組織、専門職の役割と実際
- オススメ参考書はコチラ
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行政法
「行政法」という法律的な名称は存在しない。
複数法令の総称として用いられる。
以下、重点ポイントの用語をまとめていきます。
- 行政組織法
組織・機構を定めた。内閣法、地方自治法など - 行政作用法
行政を行う根拠と基準を定めた。行政代執行法、所得税法など - 行政救済法
不利益を被った人を救済する基準を定めた。行政不服審査法、行政事件訴訟法など - 法律による行政の原理
議会が制定する法律に従って行われなければならない原理 - 法律の優位の原則
行政活動は、現に存在する法律に違反するものであってはならない。 - 法律の留保の原則
行政活動は、必ず法律の根拠に基づかなければならない。 - 行政行為 = 行政処分
行政庁が公権力の行使として、国民・住民の具合的な権利義務、その他法律地位に変動を生じさせる行為。
行政行為の効力の内容
- 公定力
たとえ瑕疵、法律違反などがあっても、不服申し立てや行政訴訟で取り消されない限り有効。相手方やその他の関係人を拘束する。 - 執行力
義務の不履行があるとき、行政庁が自力で義務の履行を強制できる効力。逐一裁判を起こす必要がない。 - 不可争力(形式的確定力)
たとえ瑕疵があっても、取り消しを求める争訟は一定の不服申立期間や出訴期間内に提起しなくてはならず、期間を過ぎると取り消しを求めることができない。 - 不可変更力
一度なされた行政行為は処分行政庁自身でも取消し、変更ができなくなる。
- 瑕疵ある行政行為
違法な行政行為
不当な行政行為
行政強制
行政庁が行政目的を実現するために、国民の身体や財産に対して有形力を行使する作用。
- 行政上の強制執行
代執行、執行罰、直接強制、強制徴収 - 即時強制
類焼防止のための家屋の破壊消防、警察官の泥酔者保護など
- 行政罰
行政上の義務違反者に対して、制裁として科される罰。
- 行政手続
行政処分など行政決定が行われるのに先立ち、国民の権利・利益保護のために行政庁が遵守すべき事前の手続き。 - 行政手続法(1993)
処分、行政指導、届け出に関する手続き、命令とを定める手続きについて共通事項を定める。事前救済法。 - 申請に対する処分
行政庁の許認可などを求める国民からの申請(社会福祉法人認可申請、要介護・要支援認定申請など)に対して、行政庁が諾否の応答をすること。 - 不利益処分
行政庁が法令に基づき、特定の者に直接義務を課すか、またはその権利を制限する処分。 - 行政指導
行政機関が、その任務または所轄事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為または不作為を求める指導・勧告・助言その他の行為で、処分に該当しないもの - 届出
行政庁に対し、一定の事項を通知する行為。
行政上の不服申し立て(行政不服審査)
行政権の行使に対し不服のあるものが、その取り消し、変更などを求める申し立てを行い、行政庁がこれに基づき心理・裁断する手続き。
- 審査請求
通常、直近上級行政庁あてに行う。 - 再調査の請求
処分庁に対して行う不服申し立て - 再審査請求
審査請求の採決後、さらに行う不服申し立て。
行政上の不服申し立てに関する手続きを規定。法律に不服申し立てができないという規定がない限り、すべての行政庁の処分・不作為に対して不服申し立てを認めるという概括主義(一般概括主義)を採用。
- 教示制度
処分に不服のある国民が、当該処分に対して不服申し立てができるのか、どこに、いつまでと言った事項について、教示する義務。
行政事件訴訟
国民が行政権の行使によって、違法に権利・利益を侵害された場合に、公平で中立な裁判所に訴えてその救済を求める手続き。
- 抗告訴訟
処分の取り消しの訴え ⇒ 取消訴訟
裁決取り消しの訴え ⇒ 取消訴訟
無効等確認の訴え
不作為の違法確認の訴え
義務付けの訴え
差し止めの訴え - 当事者訴訟
当事者間に関する - 民衆訴訟
国、公共団体の放棄に適合しない行為の是正を求める - 機関訴訟
国、公共団体、相互間
審査請求前置主義
個別の法律に定めがある場合には、審査請求に対する採決後でなければ、処分の取り消しの訴えを提起できない。
出訴期間
処分又は採決があったことを知った日から、6か月経過した時は提起することができない。
知らなくても、1年を経過したら、正当な理由のない限り、提起することはできない。
行政処分執行不停止の原則
取消しの訴えがあっても、処分の効力・執行は止められない。
重大な損害を避けるため、緊急の場合には、裁判所が執行停止を決定できる。
国家補償
国民が行政により被った不利益を金銭で解決する制度。
国家賠償
国、公共団体の違法行為により国民が損害を受けた場合。
損失補填
国、公共団体の適法行為により国民が損失を受けた場合。
情報公開制度
国民・住民の請求に基づき、国、地方公共団体が保有する行政文書を開示する制度。原則として、行政機関の保有するすべての行政文書が対象。
情報公開法
1999年(平成11年)制定
外国人を含め、すべての者に情報開示請求権を認めている。
- 開示決定等は、請求があった日から30日以内、正当な理由があれば30日以内に限り延長ができる。
- 開示決定等の処分に不服がある場合、行政不服審査法に基づき、審査請求ができる。これに対し、行政機関の長は、情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければならない。
地方公共団体
地方自治を行うことを目的として、一定の区域と住民をもって構成されている団体。
- 住民自治
地域の政治がその地域の住民の意思に基づいて行われること、民主主義の原理に立脚している。 - 団体自治
地方事務の処理が、国家から独立した団体に委ねられ、団体自らの意思と責任において行われること。地方分権の原理。
普通公共団体の事務
- 自治事務
地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外の事務。
介護保険の実施、飲食店の営業や病院・薬局の開設に関する許可など。 - 法定受託事務
国が本来果たすべき役割にかかるものであって、国において法律またはこれに基づく政令に定めるもの。
国政選挙に関する事務、旅券の交付、外国人登録など。
組織
成年後見制度
- 法定後見制度
法律の定めによる後見制度。成年後見・補佐・補助の3類型。 - 任意後見制度
契約による後見制度。
判断能力がある時点で、判断能力が不十分になったときに備えて、受ける援助の内容と後見人などをあらかじめ決めておく制度。
成年後見のしくみ
成年後見の対象
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるもの。
重度の認知症、知的障害、精神障害等により、物事を判断する能力を欠くのが通常である人。
後見開始の審判の申し立て
本人の住所地を管轄している家庭裁判所に対して、本人、配偶者等の申立権者が行う。
申し立てを行うものがいない場合、市長村長が申し立てをすることができる。
本人以外の者の請求の場合、本人の同意は不要。
後見開始の審判
家庭裁判所が適任者を選択するが、申立人が候補者を推薦することもできる。
家庭裁判所は職権で、解任することもできる。
後見人は複数でもよく、法人でも良い。
必要に応じて、成年後見監督人が選任される。
成年後見監督人は後見事務が適切に行われているかどうかチェックをする。
成年後見人の役割
- 財産管理事務
財産の保存、性質を変えない範囲での利用、処分行為など - 身上監護事務
介護のような事実行為ではなく、契約の締結、相手方の履行の監視、費用の支払い、契約解除など
①医療、②住居の確保、③施設の入隊所や処遇の監視・不服申立て、④介護・生活維持、⑤教育・リハビリテーション
一審専属権
成年後見人であっても介入することはできず、代理権・取消権は及ばない。
扶養請求権、婚姻、離婚、認知、養子縁組、離縁、遺言など
保佐のしくみ
保佐の対象
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であるもの
認知症、知的障害、精神障害等により、物事を判断する能力が、著しく不十分な状態にある人
保佐開始の審判の申し立て
本人の住所地を管轄している家庭裁判所に対して、本人、配偶者等の申立権者が行う。
申し立てを行うものがいない場合、市長村長が申し立てをすることができる。
本人以外の者の請求の場合、本人の同意は不要。
※成年後見人の申し立てと同じ
保佐開始の審判
※成年後見人の審判と同じ
保佐人の役割
民法に定める所定の行為について、同意権と取消権がある。
同意権
同意を得ないで行われた行為の法的効力は、取り消すことができるものや、無効となるものがある。日用品の購入その他日常生活に関する行為は例外とされ、取り消すことができない。
家庭裁判所は、一定の者の請求によって、特定の法律行為について、保佐人に代理権を与えることができる。代理権付与の審判には、本人の同意が必要。
補助のしくみ
補助の対象
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分であるもの
軽度の認知症、知的障害、精神障害により、物事を判断する能力が不十分な状態にある人
※保佐との違いは『著しく不十分』か『不十分』か。
補助開始の審判の申し立て
本人の住所地を管轄している家庭裁判所に対して、本人、配偶者等の申立権者が行う。
申し立てを行うものがいない場合、市長村長が申し立てをすることができる。
本人以外の者の請求の場合、本人の同意が必要。
※成年後見人・保佐人の申し立てとの違いは、『本人の同意』の有無
補助開始の審判
※成年後見人・保佐人の審判と同じ
補助人の役割
民法に定める所定の行為について、同意権と取消権がある。
同意権
同意を得ないで行われた行為の法的効力は、取り消すことができるものや、無効となるものがある。日用品の購入その他日常生活に関する行為は例外とされ、取り消すことができない。
家庭裁判所は、一定の者の請求によって、特定の法律行為について、保佐人に代理権を与えることができる。代理権付与の審判には、本人の同意が必要。
※保佐人の役割と同じ
任意後見制度
1999年(平成11年)
任意後見契約に関する法律
任意後見契約
精神上の障害により、事理弁識能力が不十分な状況になった場合に備え、あらかじめ任意後見人を選び、自己の生活、療養看護や財産管理に関する事務の全部または一部を委託し、委託した事務について代理権を付与しておく委任契約。
家庭裁判所より任意後見監督人が選任されたときから契約の効力が生ずる内容の特約を付与することになっている。
公正証書によって行われる。
任意後見監督人選任の申し立て
任意後見契約の登記後、本人の判断能力が不十分なものとなった場合、本人、配偶者、4親等内の親族または任意後見受任者が、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを行う。
任意後見監督人の選任
家裁によって任意後見監督人が選任されると、登記され、受任者は任意後見人となる。
任意後見人の役割
任意後見人に付与されるのは代理権のみで取消権は含まれない。
任意後見監督人の役割
- 任意後見人の事務を監督する
- その事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をする
- 急迫の事情がある場合、任意後見人の代理権の範囲内において必要な処分をする
- 任意後見人またはその代表するものと本人との利益が相反する行為について、本人を代表する
任意後見契約の終了
正当な理由がある場合に限り、家庭裁判所の許可で解除が可能。
民法の定める委任の終了事由として、本人または受任者の死亡や破産手続き開始の決定などにより、任意後見契約は終了する。
任意後見契約と法定後見制度の関係
任意後見が法定後見に優先する。
成年後見制度の現状と課題
2000年(平成12年)の制度開始以降、申立件数が増加傾向だったが、近年は横ばい。
成年後見関係事件の申立件数
総数 37,235件(2020)
- 後見開始 26,367 全体の70.8%
- 保佐開始 7,530
- 補助開始 2,600
申立ての動機
預貯金等の管理 ⇒ 最も多い
身上監護
審理期間
終局事件 36,804件
2か月以内の終局 約70.1%
4か月以内の終局 約92.4%
申立人と本人の関係
- 市町村長 23.9%(最も多い)
- 本人の子 21.3%
- 本人 20.2%
- その他親族 11.1%
- 兄弟姉妹 11.0%
- 親 4.7%
- 配偶者 4.6%
※市町村長の申し立ては増加傾向。対前年比約12.5%増
成年後見人等と本人の関係
- 配偶者、親、子、兄弟姉妹、その他親族 19.7%
- 親族以外の第3者(弁護士など) 80.3%
課題
- 手続きの煩雑さ、申立てに要する費用、地域によりばらつきがある市町村長申立て、制度普及啓発の促進。
- 2013年公職選挙法改正、成年被後見人にも参政権、選挙権・被選挙権が認められた。
- 公務員、社会福祉士等の仕業等における成年被後見人・被保佐人等の欠格条項を削除し、制度ごとに個別に必要な能力の有無を審査する規定が整備された。(2019)
日常生活自立支援事業
判断能力が十分でないものに対して、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理などの援助を行い、地域で安心した生活を送れるように支援することを目的に、成年後見制度を補完する制度として創設。
国庫補助事業、第2種社会福祉事業。
実施主体
窓口 … 基幹的社会福祉協議会
援助対象
日常生活を営む上で、必要となる福祉サービスの利用について、自己の判断で適切に行うことが困難であるが、本事業の利用契約を締結する能力を備えた人。
「契約締結判定ガイドライン」で契約締結能力を調査する。
援助の内容
- 福祉サービスの利用援助
- 日常的金銭管理サービス
- 書類等の預かりサービス
- 苦情解決制度の利用援助
援助の実施方法
実際に援助を行うのは、専門員と生活支援員。
専門員
初期相談から契約締結能力の確認、本人に必要な援助の特定、自立支援計画の策定、利用契約の締結などの業務。原則として、社会福祉士、精神保健福祉士があてられる。
専門員の指示を受けて、個々の支援計画に基づいて具体的な援助を行う。
利用料
実施主体によって異なる。
生活保護受給世帯の利用料は、公費補助があり無料。
契約締結審査会
「契約締結判定ガイドライン」の調査の結果、本人の契約締結能力に疑義が生じた場合に審査を行う。
都道府県・指定都市社会福祉協議会に設置される。
運営適正化委員会
事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するための第三者機関。
成年後見人等が代理人として日常生活自立支援事業の契約を結んだり、日常生活自立支援事業の利用を継続しながら、成年後見人等を選任したりすることがある。
成年後見制度利用支援事業
成年後見制度の普及・活用促進が目的。申立て費用や後見人等の報酬に対する助成のほか、成年後見制度の利用促進のための広報・普及活動を行う。
事業の対象
介護保険サービスや障害福祉サービスを利用し、または利用しようとする重度の認知症高齢者、知的障害者、精神障害者。
高齢者 ⇒ 地域支援事業
障害者 ⇒ 地域生活支援事業
事業の内容
成年後見制度利用促進法(2016)
政府は成年後見制度利用促進基本計画の策定義務
成年後見制度利用促進会議を設置
関係行政機関は成年後見制度利用促進専門家会議を設置し、その意見を聴く。
成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(2016)
権利擁護にかかる組織、専門職の役割と実際
家庭裁判所
- 家事事件手続法で定める家庭に関する事件の審判・調停
別表第一事件…家事調停の対象とならない紛争性の希薄な事件
別表第二事件…調停の対象となる紛争性が高い事件 - 人事訴訟法で定める人事訴訟の第一審の裁判
調停では解決できなかった離婚や離縁などの訴訟
1 婚姻関係訴訟
2 実親子関係訴訟
3 養子縁組関係訴訟 - 少年法で定める少年の保護事件の審判
- その他法律で定める事件の審判・調停
家庭裁判所調査官
離婚、親権者のして、変更等の紛争当事者や事件送致された少年及びその保護者を調査し、紛争の原因や少年が非行に至った動機、生育歴、生活環境等を調査する。
法務局
法務局 … 全国8ブロックに分けて設置
地方法務局 … 都道府県単位を受け持つ
国籍、戸籍、登記、供託、訟務、人権擁護などの事務を行っている。
- 民事行政事務
国民の財産や身分関係を保護する - 訟務事務
国の利害に関係のある争訟活動を行う - 人権擁護事務
国民の基本的人権を守る
成年後見登記制度
成年後見人等の権限や任意後見契約の内容などを登記し、登記官が登記事項を証明した登記事項証明書を発行することによって、登記情報を公示する制度。
成年後見登記に関する事務は東京法務局が行う。
市町村に配置。
法務大臣から委嘱された民間のボランティア。
市町村の役割
成年後見制度における市町村申立て
社会福祉士
権利擁護センター「ぱあとなあ」
公益社団法人日本社会福祉士会が組織。
所定の成年後見人養成研修を修了した社会福祉士を成年後見人等の候補者として登録。
任意後見や法定後見の受忍、家庭裁判所への申し立て手続きの援助、成年後見人等の候補者の紹介などを行う。
長かった・・・。
さ、次だ次。
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