こんにちは、あおさん(@aosan)です。
2022年社会福祉士国家試験を受験する最後のあがきです。
出題されるであろう、単発の重点項目です。
今回は『ソーシャルワーカーの倫理綱領』です。
(専門科目)『相談援助の基盤と専門職』からです。
当然のことながら、頻出項目です。
なので、全文掲載します。
ソーシャルワーカーの倫理綱領の概要
2003(平成15)年に、日本ソーシャルワーカー協会、日本社会福祉士会、日本医療社会事業協会、日本精神保健福祉士協会の4団体が、社会福祉専門職団体協議会・倫理綱領委員会を立ち上げ、それまで各団体が採択していた倫理綱領を吟味し、2005(平成17)年に最終案として提示し、共通倫理綱領として各団体で批准することを決定したもの。
その後、国際ソーシャルワーカー連盟の「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」が公表され、2020(令和2)年に「ソーシャルワーカーの倫理規定」を改定した。
ソーシャルワーカーの倫理綱領(2020年改訂)
前文
われわれソーシャルワーカーは、すべての人が人間としての尊厳を有し、価値ある存在であり、平等であることを深く認識する。われわれは平和を擁護し、社会正義、人権、集団的責任、多様性尊重および全人的存在の原理に則り、人々がつながりを実感できる社会への変革と社会的包摂の実現を目指す専門職であり、多様な人々や組織と協働することを言明する。
われわれは、社会システム及び自然的・地理的環境と人々の生活が相互に関連していることに着目する。社会変動が環境破壊及び人間疎外をもたらしている状況にあって、この専門職が社会によって不可欠であることを自覚するとともに、ソーシャルワーカーの職責についての一般社会および市民の理解を深め、その啓発に努める。
われわれは、われわれの加盟する国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク教育学校連盟が採択した、次の「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年7月)を、ソーシャルワーク実践の基盤となるものとして認識し、その実践の拠り所とする。
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(本文のみ)
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと開放を促進する。
社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。
ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々や様々な構造に働きかける。
この定義は、各国及び世界の各地域で展開してよい。
われわれは、ソーシャルワークの知識、技術の専門性と倫理性の維持、向上が専門職の責務であることを認識し、本綱領を制定してこれを遵守することを誓約する。
原理
- 人間の尊厳
ソーシャルワーカーは、すべての人々を、出自、人種、民族、国籍、性別、性自認、性的思考、年齢、身体的精神的状況、宗教的文化的背景、社会的地位、経済状況などの違いにかかわらず、かけがえのない存在として尊重する。 - 人権
ソーシャルワーカーは、すべての人々を生まれながらにして侵すことのできない権利を有する存在であることを認識し、いかなる理由によってもその権利の抑圧・侵害・略奪を容認しない。 - 社会正義
ソーシャルワーカーは、差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などのない、自由、平等、強制に基づく社会正義の実現を目指す。 - 集団的責任
ソーシャルワーカーは、集団の有する力と責任を認識し、人と環境の双方に働きかけて、互恵的な社会の実現に貢献する。 - 多様性の尊重
ソーシャルワーカーは、個人、家族、集団、地域社会に存在する多様性を認識し、それらを尊重する社会の実現を目指す。 - 全人的存在
ソーシャルワーカーは、すべての人々を生物的、心理的、社会的、文化的、スピリチュアルな側面からなる全人的な存在として認識する。
倫理基準
Ⅰ クライエントに対する倫理責任
- クライエントとの関係
ソーシャルワーカーは、クライエントとの専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。 - クライエントの利益の最優先
ソーシャルワーカーは、業務の遂行に際して、クライエントの利益を最優先に考える。 - 受容
ソーシャルワーカーは、自らの先入観や偏見を排し、クライエントをあるがままに受容する。 - 説明責任
ソーシャルワーカーは、クライエントに必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現を用いて提供する。 - クライエントの自己決定の尊重
ソーシャルワーカーは、クライエントの自己決定を尊重し、クライエントがその権利を十分に理解し、活用できるようにする。また、ソーシャルワーカーは、クライエントの自己決定が本人の生命や健康を大きく損ねる場合や、他者の権利を脅かす場合は、人と環境の相互作用の視点からクライエントとそこに関係する人々相互のウェルビーイングの調和を図ることに努める。 - 参加の促進
ソーシャルワーカーは、クライエントが自らの人生に影響を及ぼす決定や行動のすべての局面において、完全な関与と参加を促進する。 - クライエントの意思決定への対応
ソーシャルワーカーは、意思決定が困難なクライエントに対して、常に最善の方法を用いて利益と権利を擁護する。 - プライバシーの尊重と秘密の保持
ソーシャルワーカーは、クライエントのプライバシーを尊重し秘密を保持する。 - 記録の開示
ソーシャルワーカーは、クライエントからの記録の開示の要求があった場合、非開示とすべき正当な事由がない限り、クライエントに記録を開示する。 - 差別や虐待の禁止
ソーシャルワーカーは、クライエントに対していかなる差別・虐待もしない。 - 権利擁護
ソーシャルワーカーは、クライエントの権利を擁護し、その権利の行使を促進する。 - 情報処理技術の適切な使用
ソーシャルワーカーは、情報処理技術の利用がクライエントの権利を侵害する危険性があることを認識し、その適切な使用に努める。
Ⅱ 組織・職場に対する倫理責任
- 最良の実践を行う責務
ソーシャルワーカーは、自らが所属する組織・職場の基本的な使命や理念を認識し、最良の業務を遂行する。 - 同僚などへの敬意
ソーシャルワーカーは、組織・職場内のどのような立場にあっても、同僚および他の専門職などに敬意を払う。 - 倫理綱領の理解の促進
ソーシャルワーカーは、組織・職場において本倫理綱領が認識されるよう働きかける。 - 倫理的実践の推進
ソーシャルワーカーは、組織・職場の方針、規則、業務命令がソーシャルワークの倫理的実践を妨げる場合は、適切・妥当な方法・手段によって提言し、改善を図る。 - 組織内アドボカシーの促進
ソーシャルワーカーは、組織・職場におけるあらゆる虐待または差別的・抑圧的な行為の予防及び防止の促進を図る。 - 組織改革
ソーシャルワーカーは、人々のニーズや社会状況の変化に応じて組織・職場の機能を評価し必要な改革を図る。
Ⅲ 社会に対する倫理責任
- ソーシャル・インクルージョン
ソーシャルワーカーは、あらゆる差別、貧困、抑圧、排除、無関心、暴力、環境破壊などに立ち向かい、包摂的な社会をめざす。 - 社会への働きかけ
ソーシャルワーカーは、人権と社会正義の増進において変革と開発が必要であるとみなすとき、人々の主体性を活かしながら、社会に働きかける。 - グローバル社会への働きかけ
ソーシャルワーカーは、人権と社会正義に関する課題を解決するため、全世界のソーシャルワーカーと連帯し、グローバル社会に働きかける。
Ⅳ 専門職としての倫理責任
- 専門性の向上
ソーシャルワーカーは、最良の実践を行うために、必要な資格を所持し、専門性の向上に努める。 - 専門職の啓発
ソーシャルワーカーは、クライエント・他の専門職・市民に専門職としての実践を適切な手段をもって伝え、社会的信用を高めるよう努める。 - 信用失墜行為の禁止
ソーシャルワーカーは、自分の権限の乱用や品位を傷つける行いなど、専門職全体の信用失墜となるような行為をしてはならない。 - 社会的信用の保持
ソーシャルワーカーは、他のソーシャルワーカーが専門職業の社会的信用を損なうような場合、本人にその事実を知らせ、必要な対応を促す。 - 専門職の擁護
ソーシャルワーカーは、不当な批判を受けることがあれば、専門職として連帯し、その立場を擁護する。 - 教育・訓練・管理における責務
ソーシャルワーカーは、教育・訓練・管理を行う場合、それらを受ける人の人権を尊重し、専門性の向上に寄与する。 - 調査・研究
ソーシャルワーカーは、すべての調査・研究過程で、クライエントを含む研究対象の権利を尊重し、研究対象との関係に十分注意を払い、倫理性を確保する。 - 自己管理
ソーシャルワーカーは、何らかの個人的・社会的な困難に直面し、それが専門的判断や業務遂行に影響する場合、クライエントや他の人々を守るために必要な対応を行い、自己管理に努める。
ポイントの整理
- 『ソーシャルワーカーの倫理綱領』は「前文」「原理」「倫理基準」の3項目でまとめられている。
- 「倫理基準」は、「クライエント」「組織・職場」「社会」「専門職として」の4つに分けられている。
- 『ソーシャルワーカーの倫理綱領』は、国内4団体が2005年に批准してまとめられたが、『ソーシャルワーク専門職のグローバル定義』の内容を踏まえ、2020年に改定している。
「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」とセットで「きっちり」ではなくて「バクッ」と覚えよう。
あと、試験日まで11日。
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