こんにちわ、胃全摘ブロガー あおさん(@aosan)です。
胃がんにより胃を全摘してから1年9か月になろうとしています。
ここまで時間がたつと、食べられるものはだいぶ増え、手術前の胃がある状態のときの食事内容にだいぶ近くはなってきましたが、決定的に違うことは食事量です。
一度に食べられる量は多くはないです。無理をすれば、無理をしなくても、食後のからだへのダメージは大きい。
これらももっと時間がたてば回復して来るものかとセツナイ期待をしておりますが、とにかく、術後直後のように、アレダメ、コレダメの状態ではないのは確かです。
なので、手術する前に好きで好きで食べまくっていたラーメンも、術後はやっぱりダメでしたが、今は少しづつ食べるように、食べれるようになっています。
ショッピングモールのラーメン屋さん。
— あおさん@胃全摘ブロガー (@illnessaosan) August 13, 2021
こどもがラーメン食べたい!とのことで、
「ちゃーしゅーや武蔵」さん。
からし味噌ラーメンをオーダー。
麺減らすべきだったな。これは食べきれん💦 pic.twitter.com/vA7r5adePx
今回は、胃を切除した人がなぜ”めん類”を食べることが難しくなるのかを説明し、そして、一般的に思われていることと事実は真逆で、”めん類”を食べるときに注意が必要なことを実体験を交えてお話したいと思います。
胃を切除するとなぜ”めん類”が食べにくくなるのか?

理由1・・・消化の悪さ
めん類が食べにくくなる理由の一つは「消化の悪さ」です。
ダンピング症状に直結する問題ですが、ごはんものと違って、めん類は生成されて作られているため、何の成分で作られているか見た目ではわかりません。
わかりやすい例を挙げてみましょう。
蕎麦

一般的にそば粉とつなぎで作られます。
そば粉だけで作られるものを『十割蕎麦』といい、つなぎが一割のものを『九割蕎麦』、つなぎが2割のものを『二八蕎麦』と言ったりします。
では「つなぎ」には何が使われているのかと言うと、以下のようなものが一般的。
- 小麦粉(薄力粉、中力粉、強力粉)
- たまご
- 山芋・自然薯
- 海藻類
そば粉も消化の悪さでは代表的なものですが、それ以外に海藻類も消化の悪いものに分類されます。
中華麺

胃を切ると真っ先に言われるとことは、「ラーメンはやめておきましょう」です。
この代表的な理由がやはり消化の悪さです。
中華麺の主成分は小麦ですが、つなぎに使われている『かんすい』という副原料がとにかく消化に悪いんです。しかし、この『かんすい』がラーメンをラーメンたらしめている、これがなくてはラーメンにならないともいえる重要な副原料。
その正体は『炭酸カリウム』と『炭酸ナトリウム』の混合物です。
これを小麦に加えることで、弾力、独特のコシ、滑らかさを生み出すのですが、これらが総合的に、胃のない体には厳しい結果を生みます…。
消化の悪さが前期ダンピング症状の引き金になる

消化の悪いものは直接腸内に流れ込んだ時に前期ダンピング症状を起こしやすくなります。
消化の悪い成分が一気に腸内に入り、消化のために体中の血液が腸に集中し、腹痛、吐き気、倦怠感、お腹の重さ、強い眠気に襲われます。
また、コシが強くて歯切れが悪く、噛み砕こうとしても砕き切らない大きめの固形物が腸内に入り込むのもダンピングの原因となります。かなり苦しいです。
最悪、強烈な腹痛が続いた後に下痢になります。
そのため、術後間もない人は、こういっためん類を食べるのが非常にきつく感じられます。
しかし、体が術後の状態に慣れてくると、少しづつ消化の悪いめん類でも食べれるようになってきます。目安として術後100日はガマンしましょう。
今日は帰りに熊本らーめんです。
— あおさん@胃全摘ブロガー (@illnessaosan) July 17, 2021
固めのストレートめんはけっこう食べやすい。
ゆっくりとムリのないように食べるぞ😆 pic.twitter.com/gt87ViH2Nn
そのうちに、こうゆうのが食べれる日が来ますよ👍
理由②・・・詰まる
めん類が食べにくい理由の2つめは、詰まることです。
これがめちゃくちゃ苦しい。
私の場合は胃がないので、食道が直接十二指腸につながっています。
このつながりの部分、吻合部と言いますが、ここは直径1.5cmと言われています。そして、大きくなることはない。
ここに詰まります。
胃がある場合は、胃の中に貯留した食べ物を胃液でぐちゃぐちゃに溶かし、混ぜ合わせて、一定の間隔で、一定量を十二指腸に流し込みます。
胃に貯留できる食べ物の量は一般的に1.5kg~2.0kgと言われています。
けっこう食べれるんですよね。ウラヤマシイ。
さて、胃があれば固形物は砕かれ、溶かされ、詰まることはありません。
しかし、胃がない場合は、口で噛み砕いたものが直接流れこもうとします。
噛み砕きが足りないもの、一気に食べようとすると、ここに詰まります。
これが、
- 時間をかけてゆっくり食べましょう(1食30分目安)
- 一口30回以上噛みましょう
と指導される理由です。
めん類はなぜ詰まりやすいのか?

めん類が詰まりやすい原因は2つです。
- 食べ方
めん類はそば、うどん、ラーメンなどいろいろありますが、日本人の食べ方は「ズルズルっ」と『すする』食べ方が一般的ですね。この食べ方は、一気に口の中に麺が入り込み、あまり噛まずに麺ののどごしを楽しむ食べ方です。ですので、めん類は他の食事と違って、時間をかけずに一気に食べる食べ方、「立ち食いそば」なんてのはその典型ですね。
これは私たちのように時間をかけて、よく噛んで食べなければいけないものにとっては、NGな食べ方です。この食べ方をしたら、2~3口で詰まらせて苦しい思いをすることになります。
しかし、実はめん類の中でも食べやすいものも存在します。それがスパゲティ、パスタです。
スパゲティやパスタはフォークで巻き取り、一定量を口の中に入れてよく噛んで食べる食べ方が一般的で、ご飯ものなどの食べ方に非常に似ています。原材料が小麦がほとんどであり、消化に優しいのも食べやすい点ですね。術後間もない方でも、よく噛めば食べれるめん類です。 - めんの固さ
非常に大切な点なんですが、前述した通り、コシが強くて、歯切れが悪い、硬いめんはきついです。
これは「消化」の面だけではなくて、「詰まり」の面からも非常に危ない。
コシが強くて、砕けが悪いめんは、口の中でいくら噛んでも、一定以上の小ささになりません。胃があれば、胃の中で胃液で溶かしてしまいますが、それができないので、大きめの固形物のまま腸の入口へ行き、詰まります。
めん類を食べての私の失敗は実は、これが一番多いです。
実体験からめん類の注意点を考察します
これからの話はつい最近の実体験からのことです。
新発売の日清『豚ラ王汁なし』という、コテコテ油まみれの間違いなく消化の悪いインスタントラーメンと、ファストフードチェーン『ゆで太郎』で食べたお蕎麦の話。『ゆで太郎』さんはお店ごとにそばを打っている、勢いのあるそばのチェーン店です。
日清『豚ラ王汁なし』
2021年8月23日発売。
とにかく、手術前までは二郎系のラーメンが好きで好きで、あらゆるラーメン屋さんを食べ歩いていました。職場の最寄り駅のJR大宮駅周辺で入ったことのないラーメン屋さんはたぶんないでしょう(笑)
しかし、運命は残酷なもので、胃がんによって胃を全部摘出してしまい、二郎どころか、ラーメン自体を食べることが高い壁となってしまい、1年9か月。
いまだお店で食べるラーメンは怖いです。
二郎系なんてもってのほか…。
こんなときに日清食品さんで販売された「豚ラ王汁なし」は、二郎系でもさらに汁なし系の好きだった私にとっては、天啓の一品なんですよね。
やはり、自宅で時間や周りの客、店員さんを気にすることなく、もしダメだったとしても、安心して残すことができる、インスタント麺はありがたい。
しかし、強烈な商品には違いないので、私はお腹を壊すことを覚悟で臨みました。
『豚ラ王』の注意した点
- 脂質の異常な高さ 24.6g
- かんすい
- 汁なし麺独特の麺のコシ
この商品の肝は、汁なし麺=油そば、である点ですね。
とくに別添の『アブラ増し袋』の追い脂は強烈です。
そして、汁なしの特徴としての麺のコシですね。これも怖い。
あとは、味の濃さとかニンニクの強さとか、悪い点ばかりで、健常な人でも胃腸が弱い人ならおなかを下してしまいそうな内容です。
唯一、いい点は「ノンフライ麺」であることですね。
覚悟して『豚ラ王』を食べた結果
もうね、麺は脂でギッタギタです。
味はとんこつ醤油ベースのソースに、ニンニクの強烈な味わい、匂い。
家中、ニンニクテロが起きてます。
しかし、ウマい!
やはり、カロリーが高くて、体に悪そうなモノってのはウマイ!
なんて、背徳的な商品を世に送り出すんでしょう、日清さん大好きです。
そして、こどもらも味見して、ちょっと減ったけど、
ほぼ完食。
しかも、ダンピングもなし。
美味かったです。
この商品はまた、確実に買いますが、なぜうまくいったかの検証は後程まとめで。
ゆで太郎『冷やしかき揚げそば』
所用で出かけたときに、いつも気になっていたファストフード店「ゆで太郎」。
お蕎麦屋さんのチェーン店。
今日は一人だったし、外も暑いので冷たいそばが食べたいなと、寄ってみました。
いろいろとメニューがあって迷いましたが、あとの動きに影響が出ないように、シンプルにかき揚げの載ったぶっかけそば『冷やしかきあげそば』をオーダー。
そば専門店だけあって、そばはコシがあって、食べ応えがあり、お出汁も酸味を抑えてやや甘めの私好み。天ぷらも大きすぎず、小さすぎず、今の私にピッタリ。
実に美味いです。
駅そばもいいけど、ゆで太郎が路面店で拡大しているのもわかるなぁ。ウマシ…。
しかし…
ゆで太郎『冷やしかきあげそば』を食べた結果
冷たいそばは合わないのかな…
— あおさん@胃全摘ブロガー (@illnessaosan) August 28, 2021
めっちゃ苦しい。
全部ムリだ。
悔しいなぁ。
吐きそう、てか、吐きたい。
3口です。
詰まりました…。
少し時間がたてば流れるかと思い、箸を止めて待っていましたが、
涙がにじんで、腹部は圧迫され、喉元を締め付けられるかのような苦しさ。
リタイアです。
実は、冷やし蕎麦はこれで2連敗なんです…。
検証~なぜ”豚ラ王”が良くて”日本そば”がダメなのか?
私が考えうる理由は以下の通り。
『豚ラ王汁なし』がうまくいった理由
- 『豚ラ王』へ対する警戒感と覚悟
いつも以上によく噛んでから食べている - 術後1年9か月での脂に対する体の慣れ
- 脂による消化器官の流れの良さ
- 予想外に少なかった麺量(90g)
『冷やしかきあげそば』で失敗した理由
- 『冷やしそば』への油断
単品で頼んだのでたかがそば一杯と油断して、噛みが足りなかった - 美味かったために勢いよく飲み込みすぎた
- よく冷やし〆られていて歯切れ良いが、噛み砕きはできないコシの強い麺
見た目のイメージからは逆の結果に
結論として、
前述した通り1年9か月もたつと体自身は脂物や消化の悪いものにも、だんだんと慣れてきます。だから食べれる種類は増えてきます。『豚ラ王』のように脂っこいものでも、度を超えたことをしなければ、大きなダメージはないですね。逆に油分が多い為に、するすると消化器官を流れやすく、つかえることが少ないのも良い点かもしれません。もちろん、よく噛み砕いていることが条件ですが。納豆やオクラのように粘り気のあるものは、食べ物の通りを良くしてくれる効果と同じ効果を発揮してくれていたようです。
『冷やしそば』がダメだった理由は、冷やしてよく〆られている麺は、硬くて噛み砕きが弱くなる傾向があるからだと思います。
これとよく似た失敗をしているのが『素麺』です。私は『素麺』でも過去に何度も失敗をしています。よくよく考えれば、素麺への油断と〆られていて噛み砕きが足りないのに、スルスルと勢いよく食べてしまったからだと思います。
まとめ
今後は「そば」を食べる際は、基本は温麺で食べることにしようかと思います。
また時間がたって、体が受け入れるようになってくると違ってくるのかもしれません。
今回のまとめは、
冷やしてよく〆た麺には要注意!
です。
術後間もない方は、まずは温かいやわらかい麺からはじめましょう。
きっと食べれるようになりますから👍

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